3万人の子供
久保田 武蔵
3万人。
想像するだけで、凄まじい人数である。まさかこれほどまでの子供達と関わることになるなんて、まったく考えていなかった。担当させていただいた東京ドームでのイベントやひろみちお兄さんとの共演も、子供達が私にくれたプレゼントであると考えている。
「体操教室」と「交通安全&防犯運動」。幼稚園や保育園を回るときは、ほぼこの形で参加させていただいている。その他にスポーツクラブ、ショッピングモール、お祭などの会場でもイベントを展開させていただき、現在に至るという状態だ。
(株)ベネッセコーポレーション「こどもちゃれんじ」の運動のお兄さん(むさし、ジャングル・グルル)を担当させていただいて3年目。オリジナルイベントを展開させていただいて2年目。川口市主催の「交通安全教室」でリーダーを担当させていただいて1年目。ここ数年で、いままで知ることのできなかった世界を覗くことができた。
初めて幼稚園や保育園を回ろうと思ったのは、2006年9月に起きた埼玉県川口市で起きた事故がきっかけだった。散歩中の保育園児の列に車が突っ込み、16人の園児が死傷してしまった痛ましい事故である。近所に住んでいた私は、子供向け番組に携わらせていただいていることもあってこの事故を無視できず、ピアニストの高野智史氏(TAKANO TOMOFUMIn)とともにユニット『BIC』を結成。そして、その保育園のクリスマスイベントに参加させていただいた。もし自分達が子供達に対してできることがあるならば、ぜひやらせていただきたいと考えてのことだった。すべては、ここから始まったのである。
そのクリスマス会で、私達は信じられない光景を目撃することとなる。
「○○ちゃんも一緒に遊ぶ!」
数名の子供達が、亡くなってしまった子供の遺影を持ちながらイベントに参加していたのだ。そして、遊びながら遺影に向かって声をかけている。飾りのないこの光景を見て、純粋に心を打たれた。そしてこの日、正式に「交通安全&防犯イベント」を立ち上げ、『BIC』で幼稚園や保育園を回ることとなったのだ。そこから、自分の得意分野をより活かすべく新たに「むさしエンタメ体操」のイベントも考案し、より多くの子供達と直接関わっていくことになった。
子供達と関わることによって新たなアイデアが浮かび、披露する場所があることによってそれを実践できる。私にとって、現場はどこよりも重要な場所である。現場で通用しない人間は、どこに行っても通用しない。その事実を、今まで関わってくれた全ての子供達が教えてくれた。私を受け入れてくれる子供達がいること、そして受け入れてくれる現場があることを、本当に嬉しく思う。私には3万人の「先生」がいる。これはイベントを継続してきたことへのご褒美であると考えている。これからもより多くの子供達と直接ふれあい、もっともっと「先生」を増やしていきたい。そして子供たちのことを守っていきたい。自分ができることを用いて。